034_世界鶏図
男女同権の憲法改正


 日本国憲法は1947年(昭和22年)5月3日に施行されてから今日に至るまで66年以上にわたって一度も改正されたことがない。
 これはなぜかと言うと、主に次の3つの理由があると思われる。
 (1)通常の法令の改正要件より厳しい改正要件が加重されている硬性憲法となっているためであり、現在の日本国憲法の改正要件は、「衆参両院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が発議」し、「国民の過半数の賛成」を必要としている。
 (2)日本国憲法は、無条件降伏・民主国家復活・基本的人権尊重・平和政治・国民主権を要求するポツダム宣言を受諾して終戦を迎え、連合国軍占領下で制定された経緯があり、日本国民はこの憲法の絶対性と普遍性の信念を植え付けられ、その後の教育においても憲法改訂に極めて強い抵抗が生じる国民精神にまで昇華されてきた。
 (3)日本国憲法は、そもそも旧仮名遣い・旧字体表記による読みにくさがあり、前文と本文との不調和、自衛権・国防軍の否定、欧米の宗教観・価値観の混入、などの諸課題があるにせよ、全体としては民主主義の原理を尊重した優良な憲法との理解がなされてきており、また憲法条文の拡大解釈と憲法下の健全な法体系の整備と改正がなされてきており、憲法を基軸にした全法体系がほぼ満足される形で維持できている。

 しかしながら憲法施行後三分の二世紀が経過し、日本を取り巻く国際環境も大きく変化し、また、公共の利益と基本的人権との調和に関しても新たな視点が求められるようになってきており、日本の存続と発展と、更には国際貢献の拡大をも可能にする活力に満ちた憲法が求められる時代になってきたことにより、憲法改正の議論が盛んになってきたと思われる。

 憲法のどの部分をどのような思想の元に改正するかについては、日本国民の英知と総意で決めることであるが、やはりその規範は憲法改正要件に行き着くのではないかと思う。
 私は国民の英知と総意による憲法改正という原理を尊重した上で、更に男性と女性の本質的な特徴を尊重した憲法改正要件の制定を提案したい。

 具体的には、
 憲法改正の発議要件を、
 「衆参両院の男性議員・女性議員それぞれの過半数の賛成」
  とし、
 承認要件を、
 「国民投票の男性国民・女性国民それぞれの有効投票の過半数の賛成」
  とする。

 即ち、議員においても国民においても男性と女性とでそれぞれ別に賛成確認を行う、という提案である。基本的人権に関しても、自衛権に関しても、男性と女性ではかなり意見が異なると思われ、それぞれの意見を尊重する形が憲法改悪の歯止めとなると思われるからである。
 またこれが実現すると、国会議員選挙での女性候補者の擁立が積極化し、結果として女性国会議員の大幅な増加が予想される。
 国会による発議要件は、現在の三分の二から過半数と緩和されるが、発議・承認の両過程で女性の発言権が強化されることにより、現実的な男女同権が実現することになり、これが日本国憲法の現実的かつ最善の改正が実現する根拠となると信ずる。

 長い人類の生存の歴史の中で培われてきた男性DNAと女性DNAの持つ生存力と調和力を、憲法改正という現代文明の調整機能に活用したいというのが私の主眼である。