#002 年齢の数え方

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年齢の数え方


 日本には古来「数え年」と言われる歳の数え方がある。一方、現在の日本では「満」年齢が一般的である。
 「満」は自分の誕生日が基準となっており、生まれてから一年後の誕生日まではゼロ歳児とよばれ、一年(365日)過ぎてから初めて満1歳と言われる。満年齢とは言葉を変えていえば、生まれた日を除いて生まれてから何回誕生日を過ごしたか、ということになる。もちろん、閏年の4月29日に生まれた人は4月30日を何回過ごしたかということで数えることになる。
 満年齢は日本では広く使われており、若い世代の人達はこれ以外の年齢法など無いと信じている程普及してしまっている。

 しかしこの満年齢は本当に合理的な年齢法なのだろうか。

 年齢と密接に関係するのが、社会制度としての、就学年齢である。小学校に入学する年の4月1日時点で満6歳になっている子供が小学校に入学できる。この年に3月以前に満6歳になった子供と4月以降に満6歳になる子供は同じ年に生まれたにも関わらず学年が1年ずれてしまう。この矛盾をうまく解決できる言葉が、「早生まれ」と「遅生まれ」。同じ年に生まれても、入学できた子供は「早生まれ」だから、入学できなかったのは「遅生まれ」だから、と説明される。
 もし、小学校が4月1日から始まるのではなく、1月1日に開始されるのであれば、このような矛盾もいいわけも必要なくなるのであるが。
 同じようなことが、企業とか官庁の決算期とか年度にも当てはまる。日本企業の決算期は多くの場合4月から翌年3月までを年度としている。米国などの海外の国々では1月から12月までのいわゆる暦年に決算期(や政府年度)を一致させていることが多い。これは決算年度と暦年が一致しているために分かりやすい。

 話を日本伝統の「数え年」に戻そう。
 生まれるとまず1歳とする。次の正月(1月1日)を過ぎると2歳とする。自分の誕生日が来るか来ないかは全く関係ない。この数え年はどんな利点があるだろうか。数え年が同じということは、生まれた年が同じ、ということを意味する。
 また、今でも一部使っているが、十二支を基準とした干支(えと)というのがある。数え年が同じ人は生まれた年の干支が同じになる。自分は午(うま)年生まれである、といえば同じ午年の人と同じ歳か12歳、もしくは12の倍数歳だけ離れていることがすぐにわかる。数え年とは、生年を一義的に規定できる年齢法なのである。
 満年齢でいっても、どの年にうまれたのか決まらない。ただ、生まれてから何回地球が太陽を回ったかということだけである。

 さて、どちらが合理的であろうか。