#060 中南米の古代技術の謎

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中南米の古代技術の謎


 アメリカ大陸のメキシコ以南を中南米(もしくはラテンアメリカ)と呼ぶが、この地域では紀元前10世紀頃から、中米ではオルメカ、マヤ、テオティワカン、南米ではチャビン、モチェ、ナスカ、ティワナコなど数多くの古代文化が栄えた。これらの系譜を次ぐアステカ王国やインカ帝国は独自の広域文明を発展させたが、16世紀に入りスペインの侵略と略奪により2000年以上にわたって栄えた中南米古代文明(先コロンブス文明とも言う)は滅亡した。
 これらの中南米の古代文明・文化は、石の加工・運搬技術に秀でており、数多くのピラミッドや巨大な石造建築物を残している。また、天文学、農業技術、土木技術、などにおいても高度な発達を成し遂げていた。

 現人類であるホモ・サピエンス(ヒト)は、ユーラシア大陸と北アメリカ大陸が陸橋でつながった約2万年前には北アメリカへの移動を開始し、数千年をかけて南北アメリカ全土に居住域を広げた。
 先コロンブス文明はこのホモ・サピエンスとよばれるヒトが創った文明であることは、現在につながる文化人類史の上から論をまたない。

 しかしながら、たかだか3千年程前までは石器時代を経験していたこれらのヒトの知識と技術だけでは製作する事が不可能と思われる遺物が中南米各地に残されている。
 下記に紹介する事例(A)~(E)は、上述した過去2千数百年のいわゆる先コロンブス文明の知識・技術水準を超えた、すなわち(私の命名であるが)「超先コロンブス文明」の知識・技術により製作されたと考えざるをえない遺物である。
 私は、これらの知識や技術は、先コロンブス文明「以前」、もしくは「以外」の超先コロンブス文明の存在を示す十分な証拠であると考えているが、反論の根拠も完全には否定できないために本抄では参考までに挙げておくに留める。

 (A) メキシコのアカンバロで発見・発掘された3万点以上の土焼像に含まれる数十の恐竜土偶(恐竜のほとんどはヒトが誕生するはるか以前の6550万年前に絶滅しており、現代人も直接恐竜を観察した事はない)。
 (B) ペルーのイカで発見された1万数千点におよぶいわゆるカブレラストーンに繊細に刻まれた線画(アメリカ大陸にはいない動物の姿や、多様な恐竜図、三葉虫、心臓手術光景、宇宙図、等々)。
 (C) ペルーのナスカ・パルパの地上幾何模様(飛行場を連想させる数百メートル長の台形図形)。
  なお、動物等の巨大地上線画は明らかに先コロンブス文明の遺物であり対象外であるが、これらが作られた目的と動機は超先コロンブス文明に直接関わると思われる台形幾何学模様の利用目的に関係していると、私は推測している。
 (D) コスタリカのディキスデルタで発見・発掘された300個におよぶ石球(直径2メートル超の石球でもミリ単位の真球度が確保されている)。
 (E) ペルーの高地にあるカハマルカには岩山の岩盤を長方形の断面でくりぬいた水路が残されている。人が入って作業できない幅の部分もあり、この狭いトンネルの途中の四カ所で直角に水路が曲げられている箇所もある(これには現在の最新技術をもってしても不可能ともいえる技術が使われている)。

 以上の例は代表的な例でありこれ以外にも、先コロンブス時代にはアメリカ大陸では死滅した動物(例えば象)を象形化した石造物やロケットと思われる乗り物に乗った石棺図、豆腐のように平面で切除された巨石、固いスレート石の精密加工、など枚挙にいとまが無い。

 しかし、これらは先コロンビア文明の遺跡・遺物であるべきでそれ以上でも以外でもないとする主張、中には遺物は最近模造された偽物であるという反論、または古代に現代技術に匹敵し更に超越した科学技術があろうはずは無いというごく常識的な歴史観に基づき、超先コロンビア文明の存在に否定的な意見が多いのもまた事実である。

 しかしながら私は、この常識的な歴史観とか現在の科学技術では説明できない遺跡・遺物も現実に存在することを認めた上で、全地球レベルの人類史の中での中南米の先コロンブス史に新思考でスポットライトを当てることが重要と考えている。
 また、この視点が受け入れられるのであれば、極端な言い方をすれば、世界中に残されている古代・太古の数多くの不可思議とも思える遺跡・遺物・伝承についても、ほとんどすべてがすっきりと説明づけられ見晴らせるのではないかとさえ考えている。

 ここでこのような私の認識の根拠となる、先コロンブス文明「以前」もしくは「以外」の知識や技術に基づく遺物、すなわち超先コロンブス文明が存在した確たる証拠、であると私が判断した遺物を紹介したい。

① ペルーのパラカス頭蓋骨
 1928年にペルーのパラカス(Paracas)で大規模な埋葬地が発掘され多数の墓地からは合計で約300体の断片的な遺骨が発見された。2000年から3000年程前の遺骨といわれている。ここで発見された頭蓋骨には現代人とは大きく異なる顕著な特徴が認められた。(仮に、パラカス人の頭蓋骨とよぶ)

 (1) 異常に細長い頭部:
   脳の容量が約1500ccあり標準的なヒト(1300cc前後)のより大きく、インカ人(1250cc前後)よりも20%程大きい。また、頭蓋骨の重量もヒトより50~60%程重たい。
   頭部を細長い形状に変形させることは、乳幼児期に頭部に変形板を強制的に取付ける方法で可能であり、世界各地で見られる風習ではあるが、脳の容量と頭蓋骨の重量を増加させることはできない。このことよりパラカス人の脳の細長形状は生来のものと考えた方が自然であろう。ミイラ化し赤い毛髪の残った幼児の頭蓋骨も発見され、同様の細長い頭の形状となっている。
   もし、仮にパラカス人も頭蓋骨の意図的変形を行なっていたとしても、ヒトと大きく異なる脳と頭蓋骨を持っていた事実に変わりはない。

 (2) 異常な頭頂骨:
   ヒトの頭蓋骨の頭頂部は、前部が前頭骨、後部が頭頂骨でおおわれている。ヒトの頭頂骨は左右2個が一対となっているが、パラカス人の頭頂骨は1個のみとなっている。発見された全ての遺骨が突然変異のミュータントのものであるとは考えられないことより、パラカス人はホモ・サピエンスとは異なる人類と判断される。

 (3) 異なるDNA:
   近年になって頭蓋骨のDNA検査が実施され、DNAとミトコンドリアDNA(mtDNA)が現在データベース化されているヒト(現代人/ホモ・サイエンス)とは異なるパターンであることが確認された。パラカス人がヒト亜族に属するかどうかは、更に詳細なDNA検査の結果を待つ必要があるが、現代人(ホモ・サピエンス)とは全く異なる人類であると追証されたことになる。

 ヒト以外の人類も全てアフリカで誕生したといわれているが、ホモ・サピエンスが最も新しく誕生した新人であり、それ以外の人類は全てヒトより数万年~数十万年以上の古い起源を持っており、アフリカを出たのもヒトは10万年前頃であるが旧人のひとつであるネアンデルタール人はそれより20万年は早い時期にユーラシア大陸に移動し3万年程前までは生存していた。
 パラカス人がヒトと異なるヒト亜種に属する人類であって、少なくとも先コロンブス文明の始まる時期までは生存していたことが確認されたことより、ヒトより数万年~数十万年は長い進化の歴史を持っていることになり、ヒトより格段に進んだ知識と技術をヒトより数千年~数万年早く獲得していた可能性すらあると言える。
 パラカス人がどのような文化と科学技術を持っていたか、また中南米でどの程度の広い地域で生活していたかは、今後の調査によるしかないが、少なくとも超先コロンブス文明の一端が実在していた証拠とは言える。
 なお追記となるが、ボリビアのプマプンク遺跡のそばで、背丈が約2.6メートルの巨人の遺骨が発見されているが、この遺骨の頭蓋骨もパラカス人と同様の特徴を備えており、前頭骨が1個のみであり、ホモ・サピエンスではない。

② コロンビアのミニチュア飛行機
 コロンピアの首都ボゴタにある国立銀行の中に金の博物館(Museo del Oro)がある。この博物館は1980年当時は展示室全体が金庫のようになっており、時間毎に厳重な扉が開かれ見学者が中に入ると扉が閉まり、真っ暗であった室内の四面の照明が灯る。すると周りの壁にガラスケースに入った無数の金細工や金の装飾品がまばゆいばかりに輝く仕掛けとなっていた。(現在では拡張され展示室は5部屋になっている)
 これらの展示品の中に飛行機とおぼしき金細工が十数個置かれている。これらは4世紀~7世紀に栄えたキンバヤ文明の遺品といわれている。
 ひとつひとつ異なった外形とデザインではあるが、空体力学上も合理的と思えるメカニカルな細部構造をもった飛行機のミニチュア模型に見える。現在の航空機とは異なった設計思想が感じられるが、物理的に空中を飛ぶための機能は十二分に備わっているデザインと見受けられる。(事実、このミニチュアを拡大した実験機を製作し、エンジンとプロペラを付け飛ばした実験もなされており、成功している)

 金細工の加工技術と実際の飛行機の製造技術とは格段の技術格差があり、この金細工のミニチュア飛行機を製作した人々が実際の飛行機を製造していたとは思えない。しかしながら、実際の飛行機を間近で見ることができなければ、ここまで精確に航空機の特徴を把握したミニチュアを作ることは困難であったと推定できる。したがってこの金細工を作った人々が生きていた時代に、このようなデザインの飛行機が実際に飛んでいたのであろうと考えざるを得ない。
 言い換えると、先コロンブス時代に超先コロンブス文明の技術による飛行機が存在した、と言えることになるのではないかと、私は推論している。
 追記すれば、そうであるならばナスカ高原に飛行拠点が置かれ、滑走路が敷設されたとしてもなんら不思議ではなく、また、空を飛ぶ超人(超先コロンブス文明の人々)に歓迎なり友好なりの意思を伝えるために、さまざまな巨大地上図を制作することにも意義があった、と理解できるのではないだろうか。

 ヒトよりはるかに長い歴史を持つ人類がかつて中南米に文化圏を有しており、直接・間接にヒトの表の歴史である先コロンブス文明に影響を与え、数多くの足跡を残したと考えるのが、私の視点である。
 このような先進的な知識と技術をもっていた異人類が、他の大陸との交流を持ちその情報を共有化し、更に現代人と同様の知的活動により恐竜や天体に関する幅広い知識をも保有していたとしても何ら不思議でもないと思われる。また、その知識と情報を先コロンブス文明の担い手であったヒトに伝授したとすれば、石や粘度や金を使ってその知識・情報を後世に残す形で遺物が作られるのもまた自然のなりゆきであったと考える次第である。

 敢えて、何が中南米における先コロンブス史における最大の謎か、と問われれば、それは超先コロンブス文明保持の当事者であった異人類が、いつ、なぜ、どうのようにして歴史の裏舞台から消えてしまったのか、ということであろうか。

[参照文献など]
http://en.wikipedia.org/wiki/Acámbaro_figures
http://thegreaterpicture.com/Waldemar_Julsrud.html
http://en.wikipedia.org/wiki/Ica_stones
http://www.labyrinthina.com/ica-update1.htm
KOzのエッセイ#022「ペルーの地上図形
http://en.wikipedia.org/wiki/Stone_spheres_of_Costa_Rica
http://www14.plala.or.jp/mrchild/love-ooparts4.html
[
VIDEO CUMBE MAYO]http://www.youtube.com/watch?v=irRGSihpJbc
http://www.ancient-origins.net/news-evolution-human-origins/  2014.2.5
http://guardianlv.com/2014/04/paracas-elongated-skulls-new-dna 2014.4.6
[JA - 人類の隠された歴史]http://www.youtube.com/watch?v=FjtBfhJV7c8
http://www.world-mysteries.com/sar_7.htm
http://ja.wikipedia.org/wiki/人類の進化
「人類史をつくがえす奇跡の石」Javier Cabrera Darquea著 (徳間書店) 2006年
他。